2015年1月24日土曜日

516『大草原の小さな町』ローラ・インガルス・ワイルダー 谷口由美子訳

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前の年のつらかった冬の経験を生かして,ローラたち一家は町に移るが,
多くの人びとにまじって町なかで暮すことは,農場育ちの4人姉妹にとって
楽しいことばかりではない.
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前作『長い冬』をしのいだローラの一家は農地の家から町の家へと引っ越す。ローラは14歳、しっかりした少女。洋服屋さんを手伝って手間賃をもらい、とうさんの手伝いも妹たちの面倒もよく見る。ローラはしっかり者だが、この年の少女らしくファッションに憧れ、サイン帳や名刺に夢中になり、同い年の女の子に嫉妬もする。

ローラの、少女らしい功名心、負けん気、そして自分の体型や顔かたちにも敏感なところがほほえましい。そういう所を素直に書いているところもこのシリーズのいいところ。ただのいい女の子ではなく、いつの時代でも、どこでもいそうなティーンの女の子なのがいい。でも、この時代の15歳はしっかりしてるなあ。きちんと自分でお金を稼ぐことを考えているし、嫌な先生にははっきりと反旗をひるがえす。立派です。

でも、まだ女の子。アルマンゾが密かに思いを寄せていることに全く気がついていない。これだけアタックされれば気がつきそうなものなのにな。ま、それは次巻のお楽しみ。

メアリの大学行き、クリスマスのプレゼント、学校の行事、先生との対立、そして楽しい町の行事。この巻もアメリカ開拓時代の大らかでたくましい若い国の力が見て取れる。

新訳が読みやすい。ガースの挿絵もほのぼのする。